行政書士は今後、電子申請をよくやることになる? 

最近の行政書士は、電子申請を実施する機会が年々増加しています。

今は、日本全体が高度情報化社会に向かって突き進んでいる時代です。行政書士の仕事も、当然その波をかぶらないわけにはいきません。実際に、これまでは専用の用紙等に手書きで記入して作成されていた書類の数多くが、デジタル技術で作成が可能になっています。行政機関への提出自体が、デジタル技術で完了してしまう(これこそが、電子申請の醍醐味ですね)ケースも当たり前。

したがって、これから開業する行政書士の大半は、窓口申請だけではなく電子申請を実施する機会にしょっちゅう遭遇することでしょう。インターネットやPCの操作に手馴れている人なら、なんてことはないでしょう。しかし、若い年代でもいわゆる「アナログなタイプ」はいますし、それらの操作が苦手なら、早急に慣れておいたほうが安全でしょう。

電子申請が増えることで、素人でも簡単に書類の作成や提出・申請ができるようになりつつあることは否定できません。行政書士の仕事量の減少を危惧する意見は当然出ていますが、現場で働く行政書士としては、そのような時代の変化もうまいこと自己にとって有利なように対処していくことが大事でしょう。電子申請にしても普段からこなすことで熟練性を養うことになりますが、これからこの技術がどう変化していくのかを予測するきっかけにもなるはずです。

行政書士の開業後を、書式集が助けてくれる?! 

行政書士が開業したばかりのころに、頻繁に使用する品物に「書式集」がありますね。

書式集とは早い話が、各行政機関に提出する書類のひな型や模範例をまとめたものですね。行政書士の主な業務といったら、それはもう書類を作成すること。したがって、書類は正確無比な状態で完成しないといけません。新米の行政書士は、その意味ではまだとても力不足ということになりますが、そんな新人の行政書士でもできるだけ書類をつくりやすくするために、書式集が流通しているのです。

書式集は、各都道府県の連合会が発行していますし、いくつかの出版社や新聞社が毎年刊行しています。これらを入手するのも悪くないでしょう。あるいは今なら、インターネット上から簡単にダウンロードすることも可能です(有償ということが多いですが)。

もちろんこれらは、買うとなったら数万円はかかるでしょう。とはいえ、開業したばかりの間はどんな書類をつくるにもものすごく時間がかかるわけです。いちいち確かめながらつくらないといけない以上、こうしたお手本を見られるだけでも非常に助かりますし、時間の節約にもつながります。

絶対に買わなければいけないものではありませんし、信頼しすぎてもいけないのです(特に、古くなってしまう恐れはありますね。何年につくられたものなのかを、常に使う前にチェックする必要があります)が、いい書式集にめぐり会えたら買う価値はおおいにあるでしょう。

行政書士の開業、融資を受けるならどこからが○? 

行政書士として開業したいなら、それ相応の資金がかかりますね。その資金を埋め合わせるために、どこかから借り入れて間に合わせるというやり方があります。

行政書士になりたいと考える人たちの動機の大半は、進路に活路を見出すためでしょう。早い話、「(その時点での)収入や仕事内容、キャリアに満足していない」わけです。そんな状況での受験ですから、資金繰りに余裕のある合格者はそうそういないでしょう。

だからこそ、開業のために借金をするという発想につながるわけですが、どこからその融資のあてを見出せそうでしょうか? 

・縁者や知己からの借金
この手を使えるなら、この手を使ったほうがよいかもしれませんね。返済方法やその期間についても、融通が利く可能性が高いです。もっとも、その相手との人間関係に左右されますね。
また、親や兄弟姉妹といったとても近い間柄なら借りやすいでしょうが、少しでも離れた親族や、友人・恋人となるとどうしてもハードルが高くなるでしょうね。

・銀行のような金融機関
事業者向けの金融商品は、銀行等はたくさん準備しています。しかし、融資が認められる可能性はどうかといえば非常に厳しいでしょう。行政書士になりたいという程度での動機では困難なのが現状ですし、開業後もその点は変わりません。
ちなみに、いわゆるキャッシング等に頼ることは到底推薦できません。

・事業者や起業家を支援する団体や自治体
これがいちばん、チャンスがあるでしょう。日本政策金融金庫のような組織をはじめ、事業者の旅立ちをサポートする団体はいろいろとあります。融資制度もいろいろとあります。
そして県や市が、それに近い融資の制度を設けていることもしばしばです。行政書士でも認められた事例はよくあるとのこと。
これらは種類が多い上に地域差があるため、自身であたってみる必要があります。

いずれにしても、お金を借りるわけですからあとで返済の義務が生じます。よく探せば、返済しなくてよいサービスにめぐり会えるかもしれませんが、その場合の審査基準は極めて厳しいはずですから、利用できる機会は望み薄となります。

行政書士の仕事は「努力」と「成果」が比例する

ここまで、行政書士としての業務範囲の絞り込み方に始まり、実務の学び方、効果的な営業の仕方、そして人脈の築き方に至るまで、開業行政書士としての具体的かつ実践的な事柄についてご紹介してきました。

これらを読んでいただければ、行政書士として開業するにあたって大事なことはおおよそ理解していただけるものと思いますが、最後にひとつアドバイスさせていただくとしたら、がむしゃらな姿勢を決して忘れないでください。

「一国一城の主」である開業行政書士というのは、誰からも命令されないという意味では完全な自由業ではありますが、クライアントの求めに応じて、昼も夜も、平日も休日も関係なく働かなければいけないという意味では、とても不自由な仕事とも言えます。

そうした労働環境の中で求められるのはやはり、がむしゃらな姿勢、あるいは根性と言い換えても良いと思います。専門職だからと言って決してスマートな仕事ではなく、むしろ行政書士というのは泥にまみれる仕事であるということはあらかじめ理解し、覚悟しておいた方が良いでしょう。

また専門職というと「ひとりでコツコツと」というイメージもあるかもしれませんが、少なくとも行政書士に関してはまったく異なります。
お客さんを獲得するために、あるいは先輩行政書士との関係性を築くために、人が集まる場に積極的に顔を出す姿勢、つまりやはり、がむしゃらな姿勢が求められるのです。

裏を返せば、そうしたがむしゃらな姿勢を持った行政書士のところにだけ、仕事や出会いが転がり込んでくるとも言えます。事実、積極的な活動が多くの出会いを生み、その出会いが仕事につながったと語る行政書士は少なくありません。

これは、新人行政書士はもちろん、これから行政書士試験に挑戦する受験生にも言えることですが、頑張れば頑張ったぶんだけ結果として表われるのが行政書士の世界です。そんな行政書士の世界で、ひとりでも多くの読者の方が活躍されることを切に願っています。

行政書士にとって「人脈」が大切である理由

前のページでは、行政書士の営業活動には正解がないと述べましたが、ただひとつ例外があります。それは「人脈を築くこと」です。もちろん人脈を築いたからといって、すぐに劇的な効果が望めるなんてことはありませんが、紹介などを通じて、お客さんは少しずつ、しかし確実に増えていきます。

さて、一口に「人脈」と言っても、さまざまな人脈がありますが、仮にあなたが新人行政書士の場合には、先輩行政書士との関係性強化に努めることをおすすめします。先輩行政書士が新人であるあなたに仕事を紹介してくれるケースはそれほど多くはありませんが、しかしたとえば専門分野が異なれば、そうした可能性も十分にあります。

また、先輩行政書士と人脈を築くことの効果は単に営業面だけに止まりません。たとえば実務の現場でわからないことが生じたときに真っ先に相談できるのが、先輩行政書士だったりするのです。

確かに、専門書などを調べれば、自力で解決できることもあるでしょう。しかし行政書士の実務にはグレーゾーンも多く、また都道府県によって求められる書類が異なるなんてこともあります。そうしたときに役立つのは、本に記載された画一的な知識ではなく、先輩行政書士の“生きた知識”です。

そうした先輩行政書士との関係性を築くためにも、以前のページでご紹介した研修会などには積極的に参加すべきです。研修会を通じて、実務知識、最新の書式、そして人脈を手に入れることができれば、一石二鳥ならぬ一石三鳥になりますので、これを活用しない手はありません。

そして人脈に関しては、行政書士だけでなく、他の士業との関係性を築くことも大事になってきます。たとえばお客さんから「税理士を紹介してほしい」と言われたときに、信頼のできる税理士を速やかに紹介することができれば、あなたの株もきっと上がるはず。
もちろん逆もあって、お付き合いのある税理士から、行政書士の仕事を回してもらえるケースもあるので、営業面でも、他士業との連携はとても有効です。

「営業活動」が成功するかしないかは運次第!?

いくら自分がやりたい業務範囲を定めたとしても、あるいはいくら研修会に参加して実務知識を身につけたとしても、実際にお客さんを掴まえることができなければ、いつまで経っても行政書士としての業務をスタートさせることはできません。その意味では、開業行政書士にとって「営業活動」というのは非常に大事な要素になってきます。

一口に「営業活動」と言っても、さまざまな活動があります。しかも単に種類が多いだけでなく、それぞれに対する評価が、たとえば「ホームページをつくると効果的」「ホームページをつくってもお客さんは集まらない」といった具合に、人によってバラバラな点が何とも悩ましいところだったりします。

これは行政書士の仕事に限らず言えることですが、営業の方法に正解はありません。ホームページをつくって上手くいくケースもありますし、反対にホームページをつくっても全く上手くいかないケースもあります。こればかりは、その人と営業方法との相性だったり、もっと言えば運に左右されることもあります。

ここで大事なのは、上手くいったケースにせよ、上手くいかなかったケースにせよ、人の話や本に書かれている内容を何でも鵜呑みにするのではなく、自分で試してみることです。正直なところ、やってみないとわからないこともたくさんありますし、またやってみることで、自分に合った営業方法を見つけることだってできます。

特に新人の間は仕事もまだあまりなく、行政書士としての業務にそれほど多くの時間を割かれることもないと思いますので、考えられる営業活動は何でもやってみることをおすすめします。ただし、ホームページをつくるにせよ、チラシを印刷するにせよ、費用がかかることですので、そのあたりの配慮は不可欠です。営業活動にコストがかかり過ぎて赤字になってしまったのでは本末転倒ですので。

もう1点アドバイスさせていただくなら、営業活動の成果を短期間に求め過ぎないことです。行政書士に依頼する業務というのは必要があって初めて生じるものであり、ホームページやチラシを見てすぐにどうこうというものではありません。そこは「トライ&エラー」を繰り返しながら、地道に営業活動を続けていく必要があります。

行政書士の「実務」の学び方

許認可でも会社設立でも在留許可でも何でもかまいません。自分なりに取り扱い業務を決めたなら、早速、その関係の仕事に着手したいところですが、でも行政書士試験に合格してまだ間もない段階で、その仕事をきちんとやり遂げる自信はありますか?

確かに、行政書士試験の受験勉強を通じて、さまざまな法律知識を習得したはずです。しかし机上の知識と、現場での実践はあくまでも別物。行政書士の業務は実務を積み重ねることでしか体得することではできません。

しかし最初は誰もが実務経験ゼロの状態から始めるわけで、「経験がないとできない」というのでは、いつまで経っても第一歩を踏み出すことができません。そんなときに役立つのが各種研修会です。

このあたりのことは、行政書士資格を運営する側でもよくわかっていて、行政書士としての資質を向上させるための研修会をいろいろと開催してくれています。
たとえば東京都の例で言えば、新人向けの研修会や業務分野別の研修会、さらには支部が開催する研修会や任意団体が開催する研修会などもあります。

こうした研修を担当するのは、第一線で活躍する行政書士の先生です。
そのため、教科書には書かれていない“生の声”や“生きた知識”に触れることができる点も、研修会に参加することの大きなメリットと言えます。

また研修会では、業務に必要な各種書式を入手することもできます。
書式については本などでも手に入れることはできますが、それらは往々にして古い書式であることが少なくありません。実務に即した知識と、最新の書式の両方を手に入れることができるわけですから、こうした研修会に参加しない手はありません。

もちろん、どんなに積極的に研修会に参加したとしても、実務の現場では自分の知らない事柄に直面してしまうものです。行政書士の業務は多岐にわたるわけですから、それは仕方のないことだと思ってください。

そうしたときには改めて調べ直したり、あるいは役所の担当部署に問い合わせればOK。その意味では、開業行政書士には謙虚な姿勢と、常に学び続ける向上心が必要だと言えるでしょう。

行政書士業務における主要3分野

行政書士は、多岐にわたる業務に携わることのできる資格ですが、その中から取り扱う業務を敢えて絞り込むのが、営業上のセオリーです。なぜなら、この世界では「何でもできる」というのは「何にもできない」と同じこと。何かひとつ得意分野を持った行政書士の方が売り込みがしやすいですし、またお客さんからの信頼も得やすいからです。

多岐にわたる業務の中で何を専門にするかについては、基本的には自分がやりたいことでかまいません。ただし、その分野があまりにもニッチ過ぎると、十分な仕事を確保することが難しくなってきますので、ある程度の幅を持たせることは必要です。このページでは参考までに、3つの業務分野についてご紹介したいと思います。

①「許認可」分野
会社の許認可関係を請け負う仕事で、行政書士におけるメイン業務のひとつと言えます。許認可の仕事の最大のお得意先は建設業ですが、その他にも、運輸・交通系の許認可や、産廃処理関連の許認可などもあります。いずれも高い専門性と深い業界知識が求められるため、許認可分野の中でもさらに業界を絞って活動している行政書士も大勢います。

②「会社設立」分野
会社設立の手続きは、行政書士の資格を持たない一般の人でも行うことができます。すなわち、それほど高い専門性が求められるわけではありませんので、単価については総じて低い傾向にあります。
そんな会社設立分野で成功するためには、ある程度の数をこなすことと、あとは会社設立後の融資申請や許認可申請といった業務にまで、仕事の幅を広げることが求められます。

③「在留許可」分野
許認可と会社設立は法人相手の仕事ですが、こちらは主に個人相手の仕事。しかも対象が外国人に限定されるため、人の少ない田舎では成り立ちにくく、開業場所は都心、または外国人労働者の多い地方都市に限定されます。
一見するとニーズが限られているように思えますが、最近では、IT企業を中心に外国人労働者を雇う会社も増えており、行政書士のビジネスとしては意外と狙い目だったりします。

取り扱い業務を絞り込もう!

行政書士として開業するにあたっての資金の問題、立地の問題、そして事務所や業務ソフトを含めた備品の問題が一通り解決したところで、ここからはいよいよ「開業した後のこと」について述べていきたいと思います。

まず、開業を控えた、あるいは開業したばかりの行政書士の多くが抱える悩みのひとつに、「取り扱い業務は絞るべきか」というものがあります。

行政書士が取り扱うことのできる業務の範囲は大変広く、開業行政書士としてそのすべてを網羅することは物理的に不可能です。加えて、お客さんの立場からしても、「何でもできます」という行政書士はあまり信頼が持てないものです。
よって先ほどの「取り扱い業務は絞るべきか」という問いに対しては、「YES」と答えたいと思います。

ただし、取り扱い業務は確かに絞るべきですが、その絞り方には注意が必要です。
取り扱い業務を絞るということは業務の専門性を高めることであると同時に、それに該当しないお客さんを捨てることでもあります。ですので、絞り方を間違えてしまうと、集客そのものが十分に行えなくなる危険性があります。

取り扱い業務を絞るうえで意識すべきことは「商圏」とのバランスです。
たとえば開業場所が都心であれば、取り扱い業務を「会社設立支援」に絞ったとしても何の問題もありません。しかし開業場所が地方であった場合には、会社設立のニーズも少なく、お客さんの確保もままなりません。この場合にはやはり、取り扱い業務の幅をもう少し広げる必要がありそうです。

あるいは取り扱い業務の幅ではなく、商圏の方を広げるという発想もアリです。
たとえば東京23区だけでは不十分だと思えば、神奈川、千葉、埼玉といった首都圏全域に広げることで、お客さんを増やすことも可能です。

結論としましては、行政書士として開業するにあたっては、取り扱い業務は絞るべきです。ただし絞り込む際には、自身の得意・不得意はもちろんですが、それとともに商圏を踏まえて、需要と供給のバランスを取ることが必要になってきます。

開業に際して「必要なもの」を揃えよう!

開業のための資金が準備でき、また都心で開業するか地方で開業するかが決まったところで、このページでは、実際に事務所を構えるにあたって必要なものについて述べてみたいと思います。

まずは、その「事務所」をどうするかといった問題があるかと思います。すなわち、自宅を事務所代わりとして使うのか、それとも自宅とは別に独立した事務所を借りるのか、といった問題です。

結論から言えば、行政書士として開業した時点では自宅を事務所代わりに使えばOKです。
お客さんを招くこともあるので、独立した事務所を構えた方が良いという声を時々耳にしますが、自宅に応接スペースがなければ、お客さんのところに出向けば良いだけなので、その点は全く気にする必要はありません。それよりも、事務所の家賃負担を軽減することのできるメリットの方がよほど大きいと言えます。

行政書士として開業するわけですから、できれば自前の事務所を構えて「一国一城の主」になりたいという気持ちもわかりますが、タイミングとしては、事業が軌道に乗ってスタッフを雇うようになったら、そのときに初めて、独立した事務所を構えることを検討すると良いでしょう。

事務所の問題がクリアできたなら、次は業務に必要な備品を用意します。
とは言っても、行政書士にとって必要な備品というのはそれほど多くはなく、最低限、名刺、パソコン、電話、ファックス、プリンタなどがあれば、十分に業務を行うことができます。

備品に関してひとつ悩ましいのは、業務ソフトを導入するかどうかですが、これも事務所と同じように、開業当初から無理に欲張らずに、必要に応じて揃えていくスタンスで良いと思います。

ただしあまりにも何も揃っていないと、確かに手書きでも対応することはできますが、それだと見栄えの面でお客さんからの信頼を得にくいといった側面もあるかもしれません。導入することのメリットが大きいソフト、たとえば「電子定款」などについては開業当初からの導入を検討してみるのもひとつの手です。



>>現役行政書士インタビューはこちら(外部サイト)